なぜ日本で原発がなくならないのでしょう?

 
1.「原子力村」の利権構造
@電力会社にとって原発は最高にもうかる
*電気事業法が定める総括原価方式
必要経費に利益をあらかじめ組み込んで予算(総括原価)をはじき、これにもとづいて電気料徴収する仕組み。レートベース(固定資産、核燃料など)の8%までと定める。原発建設でレートベースを増やせば増やすだけもうかる仕組み。
・普通の企業は利益を増やすために原価(経費)を減らす
・電力会社は(原価+利潤)で電気料金を決めていい仕組み
  マスコミ対策としての広告宣伝費も経費に
  下請企業は世間相場の2割増しで受注(この差額が電事連にプールされ政治家対策に800億円)
・利潤は(様々な資産)×報酬率(3%)で計算
 →原発のような巨額の建設費のかかるものを作った方が利潤が増える
  核燃料や使用済み核燃料も資産となる(増える一方)
*地域独占状況→競争原理が働かず、電気料金は上がる一方  
・東電と関電が競争しない独占の制度設計(周波数統一をしない理由)
*暴利をむさぼりながら安全対策は手抜き
*原発を全廃すると設備・燃料の合計1兆5千億円を減損処理しなければならない(債務超過)
 
A政治との癒着 
  電事連の政界工作費
  自民党への献金(関西電力は毎年首相経験者に2千万円)
  民主党は電力労組に依存(電力総連はもとより連合も原発容認)
*政治権力は検察とも癒着
  ・再稼働に反対する新潟県知事の失脚を画策
  ・福島原発のプルサーマル化に反対し、東電の事故隠しに敢然とした態度をとった前福島県知事が収賄で逮捕…収賄額はゼロ円
  ・中国よりにシフトした小沢一郎を葬ったように、政権と検察は一心同体
*司法も癒着
  ・1992年の伊方原発訴訟、福島第二原発訴訟で住民側建設取り消し請求の上告を棄却した元最高裁判事は1998年に東芝の社外監査役に天下り
 
B行政(官僚)との癒着 経済産業省の天下り受入先
・監督庁の経済産業省から電力会社に天下ったのは過去68人(役員・顧問に限定…年収数千万)
 
 
C研究者 
*原発事故直後の「御用学者」の言動「大丈夫、炉心溶融は起きない」
・原子力行政と密接な関係を持つ御用学者35人に電力会社・メーカーから「寄付金」「受託研究費」
・東大には2004年以降東京電力の寄付講座が6講座、約10億円
・原子力関連の学会は電力会社から研究開発費、就職先を用意
・政府の意向に沿った発言をしていると審議会のメンバーに
*福島県民健康(管理)調査 
・福島医大・山下(前)副学長「日本という国が崩壊しないよう導きたい。ウクライナでは健康影響をめぐる訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した」
・秘密会の暴露(毎日新聞・岩波新書)
・子どもの甲状腺エコー検査で悪性もしくは悪性の疑いが90人(H23-25合計)
  10代の甲状腺がんは100万人に1-9人(国立がん研究センター)
  福島では100万人あたり300人
  それでも「現時点では放射線の影響は考えにくい」(検討委員会)
 
Dマスコミ 
・東電の広告宣伝費は116億円(2011株主総会)
・朝日、読売は70年代から原発推進の意見広告
・唯一原発反対キャンペーン記事を掲載していた毎日→電力会社の圧力で連載なくなる
・(原発事故当時もマスコミ関係者の中国慰安旅行の最中)
 
E地元 
・電源三法による補助金・交付金依存体質に。(田中角栄が創設。例:柏崎市はこの30数年間に1133億円の交付金)
・電力会社からの寄付金(匿名)=裏金
  →例えば北海道の泊村(40億の予算規模の自治体に30億)
・ネダリタカリの麻薬中毒症状(敦賀市長講演録・講談社「原発への警鐘」)「棚ぼた式のまちづくりができる。片輪が生まれてくるやらわかりませんけど、今の段階ではおやりになった方がよかろう(会場に大拍手)」
 
Fメーカー 
・三菱、東芝、日立
原発製造メーカーも電力会社の意向をくむ。
      忌野清志郎の反原発ソングが発売中止に(レコード会社が東芝)
 
 
 
2.アメリカの意向
@核の平和利用の視点から原発をやめるわけにはいかない
・核兵器の非人道性を覆い隠したい(もともと日本に原子力技術を提供したのは反共政策の一環)
「広島と長崎の殺戮の記憶を払拭するため、米国の手で日本に原子炉を建設する」(全米製鋼労組年次大会での発言)
A原発ゼロを閣議決定しようとした野田内閣 アメリカの意向で見送り(東京新聞)
・日本の核技術の衰退は、米国の原子力産業にも悪影響を与える
・再処理施設を稼働し続けたまま原発ゼロになるなら、プルトニウムが日本国内に蓄積され、軍事転用が可能な状況を生んでしまう
Bアメリカ本国はシェールガス革命で脱原発の方向
・不要な核燃料の在庫を日本で買収してもらう(日本の原発はアメリカの核燃料置き場)
・人体事件、廃炉技術の開発を国家ぐるみで継続させる
 
3.政府・自民党の意向
*根強い核武装論
 ・「当面核兵器は保有しないが、核兵器をつくるお金や技術力は保っておくべきである」(外交政策大綱1969)
 ・読売社説「日本は核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている。こうした現状が外交的には、潜在的な核抑止力として機能していることも事実だ」(2011年9月7日付)
*高速増殖炉・再処理工場をあきらめない理由→軍用プルトニウムの生産?
 ・米、独、瑞などは使用済み核燃料を再処理をせずに直接処分(安上がり)
 ・英、仏は再処理でプルトニウム生産(核保有国、米は軍事用と原発を区別)
 ・ロケット技術→大陸間弾道ミサイルの技術
  (日本は核兵器準保有国?)
 
4.原発を廃止するには
@上記癒着を断ち切る。電気事業法の廃止、電力会社の民営化、憲法の完全実施
A大飯原発訴訟・福井地裁判決を理念のよりどころに
 人間の生命を基礎とする人格権が最も尊重されるべきであり、関西電力の主張する電力の安定供給、コスト低減、貿易赤字など国富の喪失などといった経済原理を一蹴。豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失だ。
B重要な課題についての住民投票制度、住民の発議権を認める民主的制度をつくる
・国民投票で脱原発を決定:オーストリア1978 瑞典1980 伊1987・2011 スイス1990
 国会で決定:デンマーク1985 独2002・2011
・国民投票は憲法改正が必要だが、住民投票条例は可能(新潟県巻町、三重県海山町(現・紀北町) などで制定・実施)
 
以上
大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨
主文
1  被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。
2、3(略)
理由
1 はじめに
 ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。
 個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。
 
2 福島原発事故について
 福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに、原子力委員会委員長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって、チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる。
 年間何ミリシーベルト以上の放射線がどの程度の健康被害を及ぼすかについてはさまざまな見解があり、どの見解に立つかによってあるべき避難区域の広さも変わってくることになるが、既に20年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国、ベラルーシ共和国は、今なお広範囲にわたって避難区域を定めている。両共和国の政府とも住民の早期の帰還を図ろうと考え、住民においても帰還の強い願いを持つことにおいて我が国となんら変わりはないはずである。それにもかかわらず、両共和国が上記の対応をとらざるを得ないという事実は、放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断す’ることはできないというべきである。
 
(以下略)