(2)上山市の国保・医療を充実させましょう
 
■上山市の国保の状況
@県内でも高い方に位置する保険税
 一人あたり保険税はH22年9位、H23年3位、H24年7位となっています。特に医療分は7位、2位、4位となっています。
 一般会計から国保会計に法定外に3千万円繰入れられています。
A一年以上保険税を滞納する人が多く、資格証明書の発行件数が多い
 H21年度は滞納世帯389、資格証明書94、H22年度は滞納世帯数350、資格証明書94、H23年度は滞納世帯数336、資格証明書80という状況です。
 上山市は寒河江、天童、東根、南陽などと資格証明書の発行件数の多い市になっています。
 また、短期保険者証の役所留め置き、財産差押についても注視していく必要があります。
 
■上山市の国保を改善するために
@社会保障制度の位置づけを明白にして国庫負担の増額を
 国保は相互扶助制度ではなく、社会保障制度です。社会保障制度とは公的な責任で制度を運用するものです。保険税が払えないから保険証を取り上げる、まじめに払っている人に示しがつかないという考え方は社会保障制度の理念とはかけ離れたものだと考えます。
 その上で、国庫負担の増額を求め、少なくとも労使折半の社会保険の制度に近づける必要があります。1970年代から1983年までは全体の60%を国庫支出金が占めていましたが、現在では25%程度にすぎません。減らされた国庫負担分を被保険者の保険料でまかなっていることが、保険税高騰化の原因です。なによりも国庫負担の増額で保険税を引き下げるべきです。
 しかし、国がいまやろうとしていることは、国保の都道府県一本化ですが、国庫負担が同じままではいくら広域化しても問題の本質は変わりません。国保・社保・共済の統一化が将来構想にあるようですが、国庫負担を見直さなければ、むしろ社保・共済の国保化を招くだけではないでしょうか。
A一部負担金、保険料の独自減免制度を実施し、一般会計からの法定外繰入を実施する
 国保法では一部負担金(窓口負担)の減額・免除(国保法44条)、保険料の減額・免除(国保法77条)が規定されています。県外の各市町村では普通の制度として利用されていますが、県内では酒田市で1件適用があっただけです(2014年現在)。せっかくの制度を具体化して、少しでも住民の負担を軽減することが求められています。また、一般会計から国保会計への法定外繰入について、独自減免の財源に充てることは厚生労働省も確認済みです(2011.11.16)。
B経済的困窮者、高校生以下の子どもには資格証明書を発行させない
 資格証明書を発行されると、窓口で全額医療費を支払わなければならないため、病気になっても受診せず、重症化を招く事例が各地で報告されています。新型インフルエンザが流行したときこのことが問題になり、厚生労働省はそもそも経済困窮者は資格証明書の発行対象ではない「特別な事情」にあたると通知しています(平成21年9月25日「新型インフルエンザの流行に関するQ&Aについて」)。このことを徹底させ、資格証明書の発行は「払えるのに払わない悪質なもの」に対象を限定すべきです。夜間・休日訪問も含め、滞納者の状況把握に努め、親身な対応が求められていますが、1年以上滞納=資格証明書発行という機械的な対応の問題が指摘されています。
 また、平成22年の法改正で、資格証明書が交付されている世帯でも、高校生以下の子どもに対しては6カ月の短期被保険者証を交付することが決まりました。
C基金の取り崩し
 原則各市町村の国保財政は黒字となっています。これを原資に市町村では基金を積み上げているところもあります。これを取り崩して保険税を引き下げることは十分可能です。上山市では7億円の基金が積まれる予定ですが、市の対応は健全運営のため基金取り崩しによる負担軽減を実施する考えはないと表明しています(H26年3月定例会)。
D保健予防活動の充実で医療費引き下げ
1)特定健診とがん検診
 2008年より40歳から74歳を対象に特定健診制度がはじまりました。これまでの市町村が行ってきた老人保健事業から医療保険者に実施主体が変わったり、メタボに特化するなど様々な問題点が指摘されていますが、上山市では年々受診率は向上しているものの、目標(60%)に対し38.0%(H24)という到達です。
 市町村が行うがん検診は、H20年から21年は減少傾向でしたが、22年以降は上昇しています。
 今後の改善策として、
*健診項目を、せめて基本健診当時の内容を市の事業として追加し、かつ無料化すべきです。とりわけ血清クレアチニンは慢性腎臓病の危険因子とされ、多くの自治体で追加項目として実施されています。大阪の調査では自治体による追加項目があり、費用負担がないところでは受診率が高いという調査結果が出されています。
<和歌山県上富田町の例>
 必須項目に加え、医師会や住民の要望で尿酸値や腎機能検査も受けられるようにした(いずれも無料)。また集団健診の回数を増やしたり、医療機関に直接行けば受診できるようにしたり、電話や訪問で受診を促したりした結果、受診率が22.1%(2008年度)から40.1%(2011年度)と急激に改善しています。
*自殺者・認知症への対応が必要
 近年、自殺者特に中高年の経済苦を理由にした自殺者が増えています。その多くはうつ病をかかえており、質問項目などにメンタルヘルスに関する項目を追加することが求められています。同時に認知症対策も予防の段階で対応が必要になっています。
*非正規労働者、無保険者への対策
 近藤克則氏らが指摘するように、健診受診率の格差の背景には、経済的格差が大きく起因しています。生活を総合的に支える政策の中心に健康問題を据える必要があります。
2)上山型温泉クアオルト事業
 上山の地形と気候を活かした気候性地形療法を取り入れた健康づくりは評価できます。
 今後健康長寿上山をつくるために、長野県の取り組みが参考になります。
→健康長寿長野県のとりくみ
 
*温泉施設整備について
 上山市は2014年8月7日に温泉健康施設整備に向けた検討会を開催しました。市側は歩行浴をメインとしたプールと温泉を活用した施設の設置を提案しました。施設整備については市民の意見を聞きながら、慎重に検討していかなければなりませんが、市民の今後の健康問題を考える上では、医療・保健・介護・福祉・住宅などの窓口一本化による総合的な保健センターが有効ではないかと考えます。その中心に医療を据える必要がありますが、市立病院がない上山として既存の病院や医師会などとも協議を重ね、市民本位の地域包括ケアシステム整備の観点が必要です。