(1)上山市で住民本位の地域包括ケアシステムをつくりましょう
 
 国が社会保障制度改革の一環として実施しようとしている地域包括ケアシステムは、「高齢者が重度の要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしいくらしを人生の最期まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する体制」であり、「自助・互助・共助」を軸に、医療・介護の給付抑制を行うための、「大がかりな提供体制改革」というものです。
 
<住民本位の地域包括ケアシステムをどう構築するか>
 本来、「地域包括ケアシステム」とは広島・御調町で実施された「医療・保健・福祉」を統合し、「寝たきりゼロ作戦」などすぐれた実績を残したものでしたが、国は社会保障費削減のためにこの制度を変質させようとしています。
 本来の住民本位のシステムにするために、以下のような視点での構築が必要です。
@医療を重視すべき
 国の「地域包括ケアシステム」は医療者の役割を「在宅医療開始時の指導」と「看取り」に限定するものです。基本的な医療ケアは権限が拡大された看護師・介護職に担わせようとうとしています。痰の吸引など緊急性のあるものは、研修を受けた医療職以外の人が行うことはやむを得ないものの、医療・保健・福祉・介護の包括ケアを進める上で、医師や保健師の役割は重視されるべきです。特に地域の実情を把握し、生活習慣の改善など保健予防活動を強化する上では保健所・保健師の役割が強化されなければなりません。
A施設と在宅の位置づけを平等に
 国の方針では特養入所を要介護度3以上に限定するととともに、機能を低下させる方向性です。施設は基本的な生活支援サービスの提供にとどめ、入所者は外部から医療・介護サービスを受けるようにする動きも出されています。
 高齢者の住み替えを推進し、要介護者は施設に集約する方向性が成長戦略(市場化のチャンス)として出されています。介護付き高齢者専用住宅は費用が高く(最低でも月15万円以上、都会では準備金が数千万円の所も)国民年金の方は最初から対象外です。現在の特養を生活支援サービスに特化させ、低所得者向けの集合住宅にするか、脱法ハウスのような劣悪な居住空間の施設にするのか、注視していく必要があります。
 財政的問題で、国は施設から在宅に移行させようとしていますが、在宅医療・ケアこそコストが高くつくのはマンツーマン対応を考えれば当然のことです。スウェーデンでは施設を整備し、人権を重視することによって在宅にシフトしてきました。財政問題を理由にしたシフトとは質的に全く異なるものです。施設でも在宅でも同様のサービスを保障し、患者・利用者に選択の自由を与えることが重要です。
B医療・介護の専門家、行政、住民からなる総合的機関の設置
 迅速かつきめ細かいサービスを行う上で、医療・保健・福祉・介護・生活支援の窓口の一本化は必須です。医療機関、行政、民間などばらばらにやっている現状を一本化するセンター機能が必要です。そして、民主的なPlan(企画)、Do(実践)、 See(検証)によって質的向上を図っていく必要があります。

<すぐれた実践に学ぶ>
 包括ケアのすぐれた実践に学ぶ必要があります。とりわけ京都の取り組みは今後の指針になるものです。
@秋田県旧鷹巣町の住民参加型システム
 講演録をご参照ください。
A広島県御調町の医療・保健・福祉の一体化(元祖地域包括ケアシステム)
*寝たきりゼロ作戦
B最上町の「福祉は産業」政策
*ハード・ソフトの充実で農業生産に匹敵する福祉産業の創設
*高校に福祉科を設置、卒業生が地元福祉施設に就職→雇用、過疎対策に
 最上町訪問記をご参照ください。
C京都式地域包括ケアシステム
*2011年度58億円、2012年度44億円の予算
1)京都地域包括ケア推進機構を設立
・行政、医療、介護、福祉はもとより司法団体、大学も参加するオール京都で取り組みを推進
2)地域包括ケア総合交付金
・地域の実情に応じて自主的・主体的に取り組む市町村をハード・ソフト事業の両面から支援
3)在宅療養あんしん医療ネットワーク
・ドクターズネットによるかかりつけ医の複数体制や、体調不安時に入院する「地域包括ケア支援病 院」の指定など、在宅療養あんしん医療ネットワークを構築。
4)あんしんサポートハウス
・軽費老人ホームに準じ、施設の利用者負担を軽減し、低所得者も安心して暮らせるサポートハウス を整備。